
プロジェクトメンバー
1 広瀬 侑(豊橋技科大大学院工学研究科 ・合同会社サイナルジ)
2 石井 健一郎(株式会社SeedBank )
3 宮下 英明(京都大学大学院 人間・環境学研究科)
4 細川 雅史(北海道大学, 大学院水産科学研究院)
5 小笠原和也(外部アドバイザー)

プロジェクト概要
微細藻類とは、 水の中に生息し光合成によって自ら栄養を作り出す小さな生き物です。 微細藻類は、 食品・ 飼料・ エネルギーなど、 さまざまな分野での活用が期待されています。 しかし、 実際に大量培養に成功し事業化に至った例は限られています。 本事業では、 微細藻類の中でも「珪藻」 に着目しました。 珪藻は屋外での安定的な大量培養が困難でしたが、 極限環境で生育する珪藻を用いることでこの課題を解決しました。 国内のオールスターともいえる研究者と豊橋技科大発・ 京都大学発のベンチャー企業がタッグを組み、 珪藻の大量培養を事業化するために必要な要素技術の開発と、 事業化を同時並行的に実現していきます。 本事業の進展により、 高付加価値型の新しい農業を創出することで、 使われなくなった温室を有効活用し、 農業従事者の雇用創出と幅広い産業への波及効果が期待されます。
本事業の狙い

新しい形の農業の提案
【背景】 施設園芸農業を取り巻く状況
✓ 我が国の園芸用施設の面積は過去20年間で大幅に減少(図1)
✓ 愛知県の施設園芸農業の耕地面積は約2,500haで、 年数%(数十ha) のペースで減少 → 危機的状況
✓ 既存農業に加え、未利用温室を活用した新規農産物(珪藻類)の生産を本事業で提案
✓ コスト削減の「守り」の農業から、農地の収益性を高める「攻め」の農業への転換!

図1, 国内の園芸用施設面積の推移
フコキサンチンの可能性
【技術動向】 最新の技術開発状況、抱える課題
✓ フコキサンチンは海藻類(昆布)と一部の微細藻類(珪藻)に含まれる色素
✓ 人に対して優れた抗肥満作用を示し、機能性表示食品として認可を受けたものも多数
✓ 昆布のフコキサンチン含量は低いために流通が限られ、 フコキサンチン1gあたり15,000円
✓ 本事業でのフコキサンチンの効率的な生産の実現により、 市場規模の飛躍的な成長に期待

図2, フコキサンチンの構造

図3, フコキサンチンの抗肥満作用
研究シーズ・国際優位性・保有特許
【シーズA: 珪藻類の分離培養技術】
✓ 珪藻の種(休眠胞子) に着目することで、これまでに単離できなかった様々な珪藻の分離培養を実現(Ishii K. et al. (2018) Phycologia 57: 674-679)
✓ 他企業や研究者の追随を許さない熟練の分離培養技術

【シーズB:珪藻を用いたカロテノイド・脂質の生産方法】
✓ 耐酸珪藻の単離培養に成功し、 フコキサンチン(特願2023-26634) および脂質(特願2024-138353) を生産する手法を世界で初めて提案(いずれも発明者:広瀬侑、出願人:豊橋技術科学大学)
✓ 塩を含まない淡水で育つ → 食品加工や農地での生産に最適
✓ 静置によって細胞が沈む → 収穫において遠心分離が不要
✓ 大量培養に関する特許およびノウハウ(WO2016104487, 京都大学他)

【シーズC: 珪藻の成分抽出および動物実験技術】
✓ 各種クロマトグラフィーを用いて、藻類の有する有用成分の網羅的な解析の実績
✓ 給餌実験のための藻類の前処理に関するノウハウの蓄積
✓ 肥満/糖尿病モデルマウスを用いた各種機能性試験の実績(Takatani N. et al. (2023) Food Chemistry 410 他)

波及効果・成し遂げたいこと
新しい「藻」農業に関わる人材と産業を育成
【取組1 】 産業界とアカデミアの人材交流による藻類技術者の育成
✓ 藻類のオープンイノベーションを推進するため、産業界とアカデミアの交流を促す新しい枠組み(研究集会等) を立ち上げる
✓ 多様な研究者の持つ「個の力」を産業界と有機的に連携させて未踏の技術革新を実現
【取組2 】 高付加価値の新しい藻類事業に取り組む農家の育成
✓ 微細藻類の活躍が期待されるヘルスケア・水産・エネルギー等の様々な産業分野との協働を促すため枠組み(コンソーシアム等)を立ち上げる
【取組3 】 農業以外の幅広い産業とのネットワーク形成
✓ 藻類の培養という新しいスタイルの農業を普及させ、 愛知県の農業を再興させる
✓ 豊橋技術科学大学の先端農業バイオリサーチセンターのネットワークを最大限活用
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